KSG第1学期終業式挙行(7/19[金])
7/19(金)、表彰式に引き続き、KSG(越谷総合技術高校)は第1学期終業式を挙行いたしました。
【校長講話】
夏休みは約40日間と、とても長いです。いつも話しているとおり、まず将来「こうなりたい」という明確な目的を立てて、その実現のためにゴールから逆算してこの夏休みに何をすべきかを考え、有効に使うことが大切です。
そして、各学科や教科からの課題が有るのであれば、それにきちんと取り組む、学校で補講や補習などがあるならばきちんと出席ししっかりりこなすようにしてください。
3年生は、進路実現に向けた取組で忙しくなります。就職志望者は希望企業への訪問や履歴書作成、面接の準備などたくさんやることがあります。進学志望者は、オープンキャンパスへの参加や受験スタイルの決定などがあります。夏休みの膨大な時間の活用の是非が、合否を分けるかもしれないことをしっかり認識して取り組んでください。
1・2年生は部活動の取組が本格化します。部活動は将来、皆さんの人生に必ずプラスになることがたくさんあります。休まずに続けてください。
さて、昨年はこれらの話に加えて、夏休みの時間を学習以外のことについても有効に活用して欲しいとの話をしました。例えば趣味を広げたり、何かのイベントに参加したり、興味のあることについて調べてみたりしてはどうかということを、2・3年生に話しました。
ところで、私には皆さんが学校が所在するこの地域のことを知り、より身近に感じて愛着を持ち、将来、皆さんのような若い人達が中心となって、越谷市をはじめとする近隣の地域産業の活性化に関わって欲しいという願いがあります。そこで、後半は、私がこの地域について調べたことをお話します。
まず、越谷総合技術高校がある越谷市谷中町(やなかちょう)を含むこの地域は「出羽地区(でわちく)」といわれています。そもそもこの辺りは、縄文時代は海(東京湾)であって、そこに流れ込む川が運ぶ土砂が堆積し土地ができて、弥生時代には人々が住みつくようになったといわれています。
江戸時代頃になって、会田出羽介(でわのすけ)という名主が、沼と低湿地帯であったこの地域に排水路を掘削して水を抜き、お米を収穫できるようにしました。この排水路を「出羽堀(でわぼり)」といい、この地域のシンボルになっています。今日でも地元の人たちは、歴史ある「出羽堀」のことをとても大切にしていらっしゃいます。出羽小学校や富士中学校のそばにいくと水路がみられるそれが現在の「出羽堀」です。
さらに越谷市の特産といえば、「慈姑(くわい)」という縁起物の野菜が知られていますが、もう一つ、この出羽地区には「太郎兵衛もち(たろべぇもち」)というとても有名なもち米があったことを知っていますか。
出羽地区はもともと低い湿地だから「出羽堀」があっても、台風がくると水かさが増し、稲が水につかってよく被害が出たそうです。そこで会田家の子孫である会田太郎兵衛が、台風が来る前に刈り取りができ、かつ、水が出てもつからないような草の丈が長い稲を目指し、もみからの育成を繰り返えすなど、今でいうバイオテクノロジーのようなことを根気強く行いました。その結果、「太郎兵衛もち」が誕生したそうです。会田太郎兵衛は、まさに課題解決能力のある方です。
このもち米はあまりのうまさに徳川家康が食して喜んだという記録があります。江戸城の大奥御用米として献上され続けたり、皇室にも献上されたりするなど、そのくらい優れたもち米がこの出羽地区にあったことを知って欲しいと思います。ところが、今日なぜそのような話を聞かないかというと、もち米からうるち米への移行や、作る難しさなどから敬遠され、今では一部の農家のみが作っているからだそうです。ただ地元の名産をなくしてはいけないということで、「太郎兵衛もち」を絶やさないように頑張っている人たちがいらっしゃいます。
このように何か一つを深堀していくと、新たな発見などが生まれます。本校は40周年記念事業に関わるKSGキャラクターデザインを募集していますが、この考案も深堀していく中で生まれてくるとよいものが出来上がると期待しています。何でもいいから夢中になるものを探して、チャレンジしてもらいたいです。
終わりに、昨今の夏の暑さは尋常ではありません。熱中症対策や体調管理には十分留意し、有意義な夏休みを過ごしてください。
【写真】1枚目:放送による終業式のようす、2枚目:生徒指導主任の話